Dolceで行こう








漆黒のショートヘアー。

項に、少し、後ろ髪がかかる。

天辺に、「天使の輪」ができるくらい、艶のある髪。

前髪を真ん中で分けて、

それが絶妙なカーブを描いて、両サイドへ流れてる。

そして、その下の、顔。

決して女性的じゃない、それでも、優美な、輪郭。

思わず、かぷって噛み付きたくなる、整った鼻筋。

それから、唇。

・・・なんて言ったら、いいんだろ。

閉じているときも、開いているときも、その形は、扇情的で。

じっと見つめていると、喰らいつきたくなる。

・・・実際、そうしてるけど。

怒られるの、覚悟で。

それから、すらりと伸びた、首筋と項。

綺麗な筋肉の乗った、肩。

色っぽい、鎖骨。

長い、腕。

引き締まった、胸から腹。

しなやかな腰。

そこから真っ直ぐ伸びた、両脚。

どこを見ても、綺麗。

お尻も。

きゅって、引き締まってて、無駄な贅肉なんて、

どこにもついてない。

俺の両手に、すっぽりと納まる。

でもって、細い、足首。

ちらっ、なんて見えたりしたら・・・。

・・・俺、鼻血、出ちゃう。

肌も!

男なのに、肌理が細かくて滑らかで。

火照ってくると、吸い付いてくる。

歪んだところなんて、どこにもない。

それは、もちろん、顔だけじゃなくて。

・・・一体、誰が造ったのか、と思うほどの、美しい、人。

・・・神様がつくった?

だとしたら、俺は、神様に感謝しないといけないね。

この目の前にいる、この世のものとは思えない、綺麗な人。

その人が、俺だけを愛してくれる。

これって、奇跡?









その奇跡の、もう一つが、

今、俺の目の前にある。

今夜は、甘甘で行こうよって言ったら、

お前はいつもだろって言われた。

そのとおりなんだけどさ。

でも、抱き寄せたら、俺の首に腕からませて、

瞳を閉じてくれた・・・。

・・・岩城さんだって、そうじゃない・・・。








ベッドに押し倒して、身体中にキスを降らせた。

綻んでく、岩城さんの口元。

唇が震えて開いたり、閉じたりする。

ねぇ、それ、誘ってる?

岩城さんの唇って、弾力があって、

凄く、美味しい。

ず〜っと、舐めていたいって、思う。








・・・全身が、紅色に染まっていく。

甘い息が漏れ始めて。

鼻に声が抜けて、それが色っぽいんだ。

調子に乗って、肌にキスしてたら、

名前、呼ばれた・・・。

・・・痕、つけたら、怒るよね。








俺が身体を起こしたら、

岩城さんが、自分から大きく両脚を拡げてくれた。

俺についてるのと同じものとは思えない、岩城さんのもの。

なんか、ね、

舐めたくなるんだよね、ずっと。

・・・幽かだった岩城さんの声が、

だんだん、熱くなってく。

両脚、抱え込まないといけないくらい、

岩城さんの腰が跳ねて、

じっとりと、汗をかいてくる肌。

いい香り。





       ・・・ふふ・・・



       え〜・・・

       笑うなって言われても・・・

       おかしくて笑ってるんじゃないもん

       幸せだから

       もう・・・

       また、夢見てるみたいなこと言ってるって?

       ひどいなぁ・・・





零れてくる、岩城さんの蜜を掬って、蕾に指を入れた。

腰が沈んで、仰け反って、鼻にかかった声を上げて・・・。

腰、すんごい、捩って。

後ろも、前も、とろっとろになるまで、

俺の舌と指で、愛してあげて。

岩城さんの指が、俺の髪をつかんで、

腰、ベッドに押し付けた。





       もう、耐えられない?

       うん・・・

       いいよ、いっても・・・





・・・岩城さんの腿が震えて、悲鳴を上げて、果てた。

可愛いんだ、ちょっと、恥ずかしそうで。

蕾を、ペロッて舐めたら、

岩城さんの全身が、揺れた。

腰つかんで、ひっくり返したら、

ちょっと、首ひねって見つめられた。

・・・どしたのかな・・・?





       岩城さん・・挿れるよ・・・





蕾に、俺の先端が当たると、

身体が、びくっとする。

・・・くすっ・・・

いまだに、こうなんだ。

・・・岩城さんの顎が、反る。

熱い溜息を吐いて。

打ち付けてたら、岩城さんが首を捻じって振り返った・・・。

・・・うわ・・・涙目・・・。





       ・・・・後からは、嫌なの?

       ちゃんと、抱いててくれって・・・?





もう・・・岩城さんてばっ・・・。

そんな、可愛いこと言われたら、

いうこと聞かないわけにいかないじゃん。

・・・一旦抜いたら、岩城さんが自分で、上向きになった・・・。

その両膝、掴んで拡げた。

俺を欲しがってる、岩城さんの蕾。

ゆっくり腰を落として・・・

岩城さんの中へはいってく・・・








奥まで届いて、

俺は岩城さんのものを押さえつけるように、

腹をつけて、抱きしめた。

肩で息をして、俺を見つめる。

・・・堪んない、この、濡れた瞳。








岩城さんの中。

きつくて、狭くて、熱い。

まるで、天国。

前に手を沿わすと、

中が震える。

・・・すんごい、敏感。








・・・今日は、なんか余裕あるかも?

・・・俺は、ゆっくりと、腰を動かして、

悶える岩城さんを、眺めた・・・。








・・・だんだん頬が上気して、熱い息を吐く・・・。

よってた眉が、八の字になる。

瞼まで、染まって。

開いていた、瞳が閉じて。

睫が震え始めて。

閉じていた唇が、薄く開いて、

途切れ途切れの、声が漏れだした。

・・・岩城さんの声って、いつもは、

結構、低音だったりするんだけど、

鼻にかかった、この声って、

物凄い、色っぽいんだ・・・。

掠れて、裏返ったりなんかして・・・。








岩城さんの腕とか、手が、

俺の頭とか、髪とか、肩とか、背中を、

彷徨いはじめた。

・・・身体、揺するたびに俺の胸に、

勃った、岩城さんの乳首が当たる。

上擦った、甘い声が、切迫してくる。

俺の首に、腕からめて。

俺の髪に、指突っ込んで・・・。

顎が、仰け反ってく。

・・・時々、下唇とか、噛んで。

凄い、切なそうな、声。





       ・・・え?

       意地悪なんてしてないよ

       焦らしてなんか、ないってば

       おわあっ・・・?!





・・・ぎゅって、締め付けられちゃった・・・。

って、岩城さんまで悲鳴上げてる。

・・・余計、感じちゃった・・・?





       だから・・わざとじゃないってば・・・

       怒んないでよ

       もう、 岩城さん、エッチなんだから・・・

       いてっ・・・。





叩くことないじゃん・・・

え・・っ・・?



うわ・・・。

思い切り・・・擦り付けてきた・・・。





       泣かなくてもいいのに・・・





・・・そんな顔、しないでよ・・・。

堪んないよ。





       うん・・・ごめん

       わかった

       ちゃんと、するから・・・





俺の背骨に、両手の指引っ掛けて、

耐えてる姿・・・。

欲情に染まった顔。

普段の恥じらいとか、

どっかに行っちゃったみたいな、

乱れ方。

だんだん、甲高くなる喘ぎ声。

俺だけにしか、見せない、

この姿と、顔。

俺、ほんとに、幸せ・・・。





       いきそう?

       うん・・・俺も・・・



       愛してる、岩城さん・・・

       大好き・・・





       『・・・ああ・・・香藤・・・俺もだ・・・』









             〜終〜





            2005年8月20日
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