He　Makes　Me 香藤。 香藤。 香藤。 深呼吸して、名前を呟く。 香藤。 香藤。 香藤。 仕事の前、 緊張している時、 仕事の合間の休憩時間に、 香藤。 香藤。 香藤。 たった三文字。 それを呟くだけで、 ほっと、落ち着く。 まるで何かのまじないのように。 すとん、と心が、 腑に落ちて、 息がつける。 すう、っと、 身体の中に、 新しい空気が入ってくる。 香藤。 香藤。 香藤。 ただ、名前を呼ぶだけで。 俺の中に、 力が湧く。 ・・・洋二。 どくん、と心臓が跳ねる。 俺にとっては、特別な、 特別すぎる名前。 約束した日には、 まだ遠いけれど。 内緒で、時折、呼んでみる。 その度に、身体が熱くなる。 お前の腕の中にいるとき。 それが、ソファでも。 ただ、座っているだけでも。 洋二。 お前の胸にもたれて。 瞳を閉じて、呼んでみる。 声には出さずに。 心が、浮き立つように。 好きだ、と言ってみる。 お前が俺の中にいるとき。 洩れでる喘ぎの下で。 お前の名前を叫んでいる。 俺の中を壊して、 俺を作り変えたお前。 お前がいなければ、 今の俺はいない。 洋二。 いつも心の中にあるその名前を、 いつか、声に出して呼べる日が来たら。 お前の腕の中で、 最初に、言おう。 −・・・洋二、愛してる・・・− 　　　　　終 　　　　　弓 　　　2007年5月14日
本棚へ	香藤君、３２歳の誕生日おめでとう！ まだ子供だった香藤君が、岩城さんに出会って、 本当の『愛』を知って、どんどんいい男になってｖ いまや、まったく揺るぎのない、 すっごい旦那になりましたね〜ｖ （こっちにしてみりゃ、こっわいことこの上ないが・・・） お互いに高めあって、成長していくって、 素晴らしいですよvvv