I was born to love you
   
       −Amour−





「・・・ああいうことは、俺に先に言え・・・。」

「岩城さん!」

「うわっ!加減して抱きつけ!」

ソファから、転げ落ちるかと思った・・・。  





「か、香藤っ!・・・んんっ・・・」

まるで噛み付くように唇を重ねてくる。

逃げるまもなく、舌を絡め取られきつく吸われる。

俺の感じるところを知り尽くした香藤の動き回る舌。

それだけで、意識が飛びそうになる。

吸い込んだ息の中に、GIGOLOの香りが混じっている。

・・・俺を、翻弄する香り。

それに包まれて身体が昂ぶるのがわかる。



お前の手が、俺の上着を剥ぎ取っていく。

熱い息を吐きながら・・・。

その息が俺の項にかかった途端、腰の奥が疼いた。

「・・・あっ・・・」

漏れた声に、うろたえた俺を見つめるお前の瞳。

獣のような眼が俺を射抜く。

引き剥がすように、着ているものを全て脱がされる。

まるでレイプされてでもいるかのような感覚に、

身体がゾクリと震える。



・・・いつの間に、こんな身体になったんだろう・・・。

それが、少しも嫌じゃない。

むしろ、嬉しいと身体の奥が暴れだす。

荒々しく俺の肌を弄るお前の手。

項から、胸に下がるお前の唇を、身体が喜んでいる。

それを、喜ぶ俺の心・・・。

俺の胸を這うお前の指と、舌。

・・・感じすぎるそこに、声が止められない。

「・・・あぁっ・・・」

お前の手に、握りこまれるだけで反応する。

なじんだ、お前の指。

俺の全てを知ってる。

「・・・ひっ・・・」

・・・この馬鹿っ・・いきなり指入れるな・・・!

「ごめん。痛い?」

答えようとする頃には、痛みなどどこかへ行ってしまう・・・。

「・・・あっ・・んんっ・・・」

口をついて出たのは、恥ずかしい喘ぎ声・・・。

お前の指が俺の中を掻き回すように、弄る。

手足の指の先まで快感が伝わる。

・・・奥が・・潤んでくるのがわかる・・・。

「・・・んぁあっ・・・」

・・・そこ・・っ・・・。

「ここだよね。」

・・・笑いながら言うな・・・。

わかってるくせにっ・・・。

・・・そんなこと・・・答えられるかっ・・・。

「・・・あぁ・・か・・かとっ・・・」

「うん。」

全身が甘く疼いてどうにもならない。

俺の身体の隅々までを覆い尽くすようなお前の愛撫。

お前が触れたところから蕩けだしていくような気がする。

・・・そこから、体中に幸せが拡がる。

意識が濁っていく・・・。



気が付いたら、膝を掴まれ思い切り開かされていた。

羞恥なのか期待なのか、身体が火照る・・・。

お前の熱い、瞳。

熱い、息。

耳につく、自分の吐息。

待ってるのに・・・。

早く・・・。

「・・・香藤・・・」

俺が焦れているのをわかってるくせに・・・。

「・・・岩城さん・・言って・・・」

その言葉をお前は、俺に言わせようとする。

お前にしか、言わない。

だから、聞きたいのか・・・。

・・・恥ずかしいのに・・・。

・・・でも・・俺だって・・お前が・・欲しい・・・。

「・・・香藤・・早く・・入れて・・・」

お前のその笑顔。

愛されていると確信する。

「・・・んあぁっ・・・ああぁっ・・・」

俺だけのもの・・・。

・・・誰にも、渡したくない・・・。

俺の中を、蹂躙する、お前・・・。

俺の中で、猛り狂ったように動く、

お前を受け止める、幸せ・・・。

・・・もう・・・なにも・・・考えられない・・・。

・・・お前に、全てを、預けよう・・・。

・・・体がお前を欲しがるままに・・・。

・・・心がお前を欲しがるままに・・・。

・・・お前が俺を欲しがるままに・・・。

・・・何度でも・・・。






バスルームに、水しぶきが上がる。

「ね、足開いて。中、洗ったげるから。」

「自分で洗うから、いい。」

「いいから。」

しぶしぶ壁に両手をついて両足を開いた岩城の蕾に、

香藤は指を潜らせた。

「・・・あっ・・・」

その感覚に、思わず爪先立ちになって

背を逸らす岩城に、香藤が笑った。

「だめだめ、逃げちゃ。ほら、出てきた。」

液体が内股を伝って下りる感覚に岩城が声を漏らした。

「・・・んっ・・・」

「色っぽいなあ、もう。」

「馬鹿・・・。」

「どうしよう、岩城さん。俺、感じちゃったよ。」

香藤が、背中越しに岩城の顔を覗き込んだ。

岩城が頬を染めて顔を背け、小さな声で答えた。

「・・・俺もだ。」

「ほんと?じゃ、いい?」

「いちいち聞くな。・・・こい。」



「・・・んぅっ・・・あぁっ・・・」

片方の手で岩城のものを扱きながら、

背後から香藤が岩城を突き上げていく。

「・・・ああっ!・・・んっ・・・あっ!・・・」

バスルームの中に、香藤が打ち付ける音、

出入りする湿った音と岩城の身悶える声が反響していた。

「すっごい、卑猥な感じ。」

「・・・か・・とっ・・・」

「岩城さんも、感じちゃわない?」

「・・・あっ・・ああっ・・!・・・」

「なんだ、やっぱり感じてるじゃない。」

「・・・喋ってないで・・はやく・・・」

香藤が、うふっと笑って岩城の耳元に囁いた。

「いきたい?」

「・・・あっ・・・」

その項に感じる香藤の熱い吐息と

言葉に煽られて岩城が仰け反った。

「ねえ、岩城さん。言ってよ。」

「・・・そ・・そんなこ・・・」

「ねえ、言って。聞きたいよ。」

羞恥心を体の疼きがねじ伏せ、

後ろから腕を香藤の首に回して岩城が熱い息を吐いた。

「・・・はやく・・いかせて・・・」

「岩城さん、それ最高!」

そう叫んだ香藤が、思い切り深く岩城を抉った。

「・・・ひっ・・いぃっ・・かと・・っ・・!」







「香藤、先に寝るぞ。」

「は〜い。」

岩城が、パジャマを着こんでバスルームを出た。

ゆっくりと階段を上りながら、思わず溜息が零れた。

「まったく・・・俺を殺す気か・・・。」

寝室へ入り自分のベッドに潜り込みながら、ふと、笑みをこぼした。

「・・・香藤だけのせいじゃないか・・・。」

バタバタと足音が聞こえる。

「・・・落ち着きのない奴だな。」

「岩城さ〜ん!」

バタン、とドアが開いた。

裸のままの香藤がにっこりと笑いながら入ってきた。

・・・冗談じゃないぞ・・・。

それを見た岩城が、顔をしかめた。

「お前、ほんとにいい加減にしろ。」

「なんでぇ?」




               〜終〜




             2005年1月22日

                弓