勝手にしやがれ2009









「岩城さんて、年々若くなってきてるけど、

それって毎日が充実してるから?

それとも、年下の彼氏のせい?」

「・・・え?いや・・・そうですね。」



馴染みの、と言ってもいい雑誌の記者。

インタビューが終わって、世間話を始めるように、

笑いながら言われたその言葉。

少し苦笑しながら答えた俺に、彼女はくすくすと笑った。



「両方ってことね。いいなぁ、岩城さん。

私もあんな年下の彼氏か、旦那が欲しいわ。」



年下・・・。

改めてそう告げられて、実際俺は戸惑った。



「そんなに、いいですかね?」

「だって、パーフェクトじゃない?」



パーフェクト・・・。

すんなりと、そんな言葉が出るほど、香藤は完璧な・・・。



「それ、彼氏として、そう思われてるってことですか?」

「違う、違う、岩城さん。全部よ。」



うーん・・・。






「ねぇ、岩城さーん?」

いま、目の前にいる、だれ切った顔をした男を見ても、

どこが?と思うんだが。

「ねぇねぇ、今夜なに食べたい?」

・・・ギャップがありすぎるだろ。



『だって、俳優としてもいい仕事してるし、

男としてもこれからますます、でしょ?』

『前に、香藤さんにインタビューした時に、

オフレコで思い切り惚気られたわよ?

本当に愛されてるわ、岩城さん。』

『お料理だって、彼が作ってるのよね?

岩城さんの専属栄養士だ、って、言ってたし。』



「お前が作るものなら、なんでもいい。」

「・・・もー、男殺し。」

「なんだ、それは?」

「わかってないねー、相変わらず。

ま、そこがいいんだけど。」

相変わらずなのは、お前の方だろ。

・・・彼女の目は、世間一般の目と言っていいんだろう。

香藤は、男として、俳優として、格好いいと思われてる。



『彼氏にしたいとか、結婚したい芸能人、とか、

アンケート取ると、絶対三位以内に入るじゃない、彼。』



まぁ、確かに。

『男前で、背が高くて、明るくて、優しい。

おまけに仕事もできて、料理もで きる。

欠点なんて、見当たらないじゃない?』

そう、真顔で言われても・・・。



「ねぇ、岩城さん。中華と、和食、どっちがいい?」

「・・・和食。」

「了解ー。」

『いいわよねぇ・・・私も一回でいいから、

ベッタベタに甘やかされてみたいなぁ。』

ベッタベタって、そんな風に見えるんだろうか。

そう聞いた俺に、彼女は、『あら、やだ!』と叫んで、

本気で驚いていた。

挙句に、溜息?

『・・・ほんと、岩城さんって、幸せよねぇ。』

なぜ、清水さんと顔を見合わせるんだ?

清水さんも、そこで苦笑しなくてもいいのに・・・。



「・・・なんでお前は、俺がいいんだ?」

「はぁ?!」

「そんなに大声出さなくてもいいだろ。」

「なに言っちゃってんの、今更?」

「で?」

「でってさ、岩城さんが俺を好きな理由と一緒だよ。」

そういう言い方されてもな。

「それは・・・。」

「うん?」

「・・・わからないってことか?」

「・・・。」

ボケた顔して、俺のこと見返さなくてもいいだろ。

そんな変なこと言ったか、俺は?

「勘弁してよ、岩城さん。」

「なにがだ?」

「マジ顔で言わなくても。」



『ほんと、香藤さんが言ってたとおりね。』

呆れた顔で、彼女は清水さんと笑ってた。

『天然って、こういう人のことを言うのね。』

どういう意味なんだ。

・・・香藤は、俺のことをなんて言ってるんだろう。



「お前、あんまり外で変なこと言うなよ?」

「変なことって?」

「天然、って言われたぞ、この前。」

「ああ、そりゃ、仕方ないよね。」

にっこり笑って言うことなのか?

「いいの、俺だけわかってれば。」

「まぁ、それはそうだが。」

「俺のこともそうでしょ?」

ふわり、とお前の香りがした。

俺のことを抱き込んで、嬉しそうに。

「仕事してる俺がどう言われようとさ。

ほんとの俺は、岩城さんだけが知ってればいい。でしょ?」

「うん。」

・・・なんだ、俺のもやもやは、それか。

「可愛い、岩城さん。」

「・・・はいはい、どうも。」

「言われ慣れると、そういうリアクションになっちゃうわけね。」

「今更か?」

「いいけど。」







     終り




     弓




   2009年1月19日
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え~・・・と、まぁ、一生やってろ、って感じですか?(爆)

あらためまして(笑)

岩城さん、お誕生日おめでとうございますv

30代最後ですね(爆)

これから、どんどん、益々、美味しい、もとい!(笑)

男としていい年齢になって行かれますね。(涎ものともという・・・)

香藤君とも、益々砂吐きになっていかれることを、お祈りしてます(笑)

(ちと、悔しいけどさ~・・・岩城さんが香藤君じゃなきゃやだって言うからさ~(笑))