These are the days of our lives

        −チャンピオンの休日 10−








「なぁ、香藤。」

「うん?」

「いったい、今日は何日なんだ?」

「今日?えっと、29日、だね。」

その返事に、岩城は呆れて首を振った。

香藤の腕の中で、後から抱きかかえられていた岩城が、

もそもそと身体を反転させ、香藤に向き合った。

こてん、と香藤の上腕の筋肉に頭を乗せると、彼を見つめた。

「で、いつまで、ベッドにいる気なんだ?」

「ん〜、」

「もう、いい加減起きる気はないのか?」

「そうだねぇ〜。」

気のない返事をしながら、香藤の手が岩城の背中を摩った。

下へ滑った手が、岩城の尻をやわやわと撫でた。

「・・・こら、言ってるしりから。」

「うん、岩城さんのお尻、すっごくいい感触。」

「その尻じゃない。」

ぺち、と岩城が香藤の額を叩いた。

くすくすと笑いながら、香藤の手は岩城の尻をたどり、

後孔へ触れ、片方の手で岩城の肩を抱きこみ、首筋を舐めた。

「・・・んぁっ・・・」

「感度良くなってきたね。」

香藤が岩城の耳に囁いた。

何日もの間、繰り返し蹂躙された岩城の後孔が、

香藤の指が掠めるだけでずくり、と震えた。

「・・・ふっ・・・あ・・・やめろって・・・」

瞬く間に息の上がった岩城は、そう言って笑う香藤を睨んだ。

「こう何日も抱かれ続けりゃ、誰だってそうなるだろ。」

「それは違うんじゃない?」

香藤が思いのほか真剣に見返す顔に、岩城は目を見張った。

「愛し合ってなきゃ、何日セックスしたって感じて来ないでしょ?」

口を開きかける岩城に、香藤はにっこりと微笑んだ。

「愛してるよ、岩城さん。」

「香藤・・・。」

「でないと、俺のがこんなにならないって。」

そう言いながら、香藤は既に勃ち上がった下半身を岩城に擦り付けた。

「・・・はっ・・・」

「感じちゃった?」

「・・・ん・・・っ・・・」

擦り付けられて、岩城のペニスがどくん、と反応した。

香藤の膝が岩城の腿を割った。

差し込んだ足で岩城の内腿を摩り、

岩城のペニスに自分の熱く勃ち上がったものを擦り付けた。

「・・・んはっ・・・」

軽く仰け反る岩城の身体の上を、香藤の手が這い回る。

香藤が腰を揺らして岩城を追い上げ、項や鎖骨を唇と舌で、弄った。

「・・・か、香藤・・・ッ・・・」

岩城が、悲鳴のような声を上げた。

それを香藤は上目遣いに見て、そっと乳首を指で摘んだ。

「・・・んぁっ・・・」

顎が跳ね、肩が上がる。

香藤の背に腕を廻して仰け反る岩城に、

香藤は両足を絡ませて、腰を擦り付けた。

「・・・も・・・っ・・・」

「出そう?」

こくこくと岩城が頷いた。

「このまま、出していいよ。」

岩城の腰を掴んで香藤が囁いた。

「・・・お・・・お前は・・・?」

上がる息で岩城は香藤を見返した。

香藤は鼻先がつきそうな距離で、にっこりと笑った。

「俺は、岩城さんの中で出したいから、あとで。」

そう言いながら、香藤は岩城のペニスを握り込み、追い上げた。

「・・・あぁっ・・・ふっんんっ・・・」






「・・・んぁっ・・・あんっ・・・」

香藤の両手が腿を抑え、岩城の股間を舌で弄る。

腿の付け根を舐め下ろし、舐め上げる。

肝心なところを避けるようにするその愛撫に、

岩城は声を上げ続けていた。

ねっとりと袋を舐め上げ、軽く吸い付く。

「あぁんっ・・・あっ・・・」

漏れる先走りが岩城の腹を伝い、シーツを濡らしていた。

腰をくねらせ求める岩城に、香藤はようやく後孔を舐めた。

「・・・うあぁっ・・・」

香藤が後孔に舌を差し込んだ途端、悲鳴が上がった。

ぼってりと熱を持ったそこが歓喜に震え、弄る舌に脈打った。

「・・・んあっ・・・はうんっ・・・」

すがる物を探して、岩城の手がシーツの上を彷徨った。

身体を左右に捩り、のたうち、頭を枕に擦り付けて、岩城は喘いだ。

香藤が舌で柔襞を探りながら、指を1本差し込んだ。

「・・・んうぅっ・・・くっ・・・」

岩城の喉が鳴り、背が反り返る。

その指に襞が巻きついた。

「堪んないね、岩城さん。色っぽいよ・・・。」

「・・・はっ・・・か、香藤っ・・・」

顔を左右に振って、岩城が叫んだ。

「なに?」

香藤は指を後孔に入れたまま、

身体を起こして岩城の顔を覗き込んだ。

眉をきつく寄せて、口角から雫を零しながら岩城は喘いでいた。

「どうしたい?」

「・・・香藤ォ・・・も・・・もォ・・・」

「もう?」

そう言いながら、指を捻り、襞を抉った。

「・・・うぁっ・・・あんっ・・・」

追い上げられ、それでも決定的なものを与えられず、

苦しげに顔をしかめていた岩城の眦から、涙が落ちた。

「かとっ・・・もうっ・・・」

「ねぇ、どうしたいの?」

「・・・いっ・・・」

夢中で、岩城は首を振った。

声を振り絞るように、岩城が、

「挿れてくれっ・・・ああっ・・・」

指で弄られるまま、叫んだ。

「欲しい?」

香藤が蕩けそうな顔で、

岩城の唇に触れるような距離に顔を近づけた。

「・・・欲しい・・・早くっ・・・」

ぎゅっと、香藤の腕をつかんで、岩城は息の詰まるような声を出した。

ぐい、と香藤が岩城の両膝を開いた。

反り返る岩城のペニスと、縮こまる袋を見ながら、

香藤はにっこりと笑った。

「・・・香藤・・・」

荒い息をついて、両手を香藤に差出し、岩城が香藤を見上げた。

「挿いるよ。」

こくり、と岩城が頷いた。

「・・・あぁぁっ・・・」

ひくつく壁を引き摺るように、香藤は岩城の中へ分け入った。

「うんっ・・・んあっ・・・」

ゆっくりと岩城の柔襞を擦り上げながら、香藤が奥まで差し込んだ。

「どう、岩城さん?」

声を漏らし、香藤の背に腕を絡ませる岩城の耳に、香藤が囁いた。

「わかる?俺がいるの。」

「う・・・んっ・・・」

「岩城さんの中、ものすごく熱いのも、わかる?」

こくり、と岩城が頷いた。

「俺を銜え込んでるよ、岩城さんのここ。巻き付いて、離したくないって。」

「あっ・・・んっんっ・・・」

香藤が軽く腰を揺らしただけで、岩城の背筋が電気が走ったように痺れた。

「すごい、感じてる?」

香藤の声が耳に入らないような表情で、

岩城は口を大きく開いて息をし、

眦から零れる涙が、枕に染み込んでいた。

「嬉しいよ、岩城さん。」

そう囁いて、香藤は岩城の腰を抱え込んだ。





「・・・ひんっ・・・んぁあっ・・・」

香藤が叩きつけるにつれて、岩城の声が変わり始めた。

掠れ、裏返り、それは止め処なく続いた。

香藤が岩城の中を探るように、四方の柔襞を掻き回した。

途端に、岩城の声が甲高く変わった。

「いい?」

「いいっ・・・ふぁあっ・・・」

きつく腰をすりつける岩城に、香藤の頬に笑みが浮かんだ。

膝をシーツについて、岩城を追い上げる香藤の目の前で、

岩城の背が反り返り始めた。

「・・・ひぃっ・・・あぁぁっ・・・」

のたうち始めた岩城に、香藤が目を見張った。

香藤のペニスを取り囲む岩城の内襞が、うねうねと絡みつく。

「・・・あふぅっ・・・か・・・香藤っ・・・」

狂態、と言ってもいいほどのその姿に煽られ、香藤が深く奥へ穿った。

「うあぁぁっ・・・」

途端に、岩城の身体が震えだし、悲鳴が尾を引いた。

意識が真っ白になり、身体を走る電流に、

驚くほど仰け反った岩城の身体が、びくりと硬直した。

その岩城の奥深くへ香藤は熱を叩きつけた。

「・・・あっ・・・あ・・・」

朦朧としながら、小さな声が漏れる岩城の顔を、

香藤はじっと見つめていた。

くすりと笑うと、ゆっくりと岩城の身体を抱きしめた。

そっとキスをすると、岩城がそれに応えた。

「・・・大丈夫?」

「・・・ん・・・」

岩城がゆっくりと香藤を見返した。

霞む瞳の焦点が合い、岩城は熱い溜息をついた。

「・・・どうなったんだ、俺は・・・?」

「達っちゃったんじゃない?」

「え?」

呆然として見上げる岩城を、香藤は優しい顔で髪を撫でた。

「強烈だったよ、岩城さん。」

「・・・達っちゃったって・・・」

「見て、岩城さん。」

香藤が身体を起こして、岩城の股間を露にした。

そこには、半立ちのままの岩城のペニスがあった。

「・・・え?」

「ね?」

にっこりと笑う香藤に、岩城はまじまじと自分のペニスを見つめていた。

ばふっと枕に頭をつけると、岩城は首を振った。

「ほんとに、女になったらしいな、俺は。」

ぷ、と香藤が噴出して岩城を抱きしめた。

「嬉しいよ、俺。」

「そうか?」

顔をしかめる岩城に、香藤はそっとキスをすると、

ゆっくりと労わるように身体を撫でた。

「今までさ、」

「ん?」

「俺が求めるばっかりで、

岩城さんはそれに応えてくれてるだけだったでしょ?」

「・・・そんなことは、ない。」

「でもね、さっきは、挿れてくれって言って、欲しいって言ってくれた。」

真っ赤になる岩城に、香藤は腕に力を入れて抱きしめた。

「嬉しいよ、すごく。」

「そうか?」

「うん。」

香藤が唇に触れた。

舐めるように動く舌に、岩城は薄く唇を開いてそれを迎え入れた。

「・・・ん・・・」

「綺麗にしたげるね。」

香藤がそう言って中から出て行き、

岩城は四肢をシーツの上に投げ出すようにした。

「まったく・・・。」

「どうしたの?」

「お前と一生を共にするってのは、大変だな、と思ったんだ。」

「えー、なにそれ?」

岩城はくすくすと笑いながら、股間に座り込む香藤を見下ろした。

「もう死にそうだ。勘弁してくれ。」

「う〜ん・・・。」

するり、と香藤の指が岩城の後孔へ潜り込んだ。

掻き回す指に、岩城の柔襞が巻きついた。

「ちょっと、岩城さん、我慢して。」

「・・・んぅっ・・・」

笑っていた岩城が、指が動くに連れて呻き声を上げた。

中が震えだし、蠢いて、香藤の指を絡め取ろうとした。

「・・・あぁっ・・・んんっ・・・」

「ちょ・・・ひょっとして・・・?」

岩城が腰を捻り、両足がシーツを踏みしめた。

「・・・か・・・香藤・・・・」

くい、と香藤の指が動いた。

途端に、岩城が仰け反り、首を振った。

「・・・い・・・っ・・・」

「達く?」

「・・・んふっ・・・」

肩で息をしながら、岩城がすがるような視線を香藤に向けた。

「な・・・んで・・・」

「なんでって、敏感になってるからだと思うけど?」

柔襞を探りながら、香藤が岩城を見返した。

「・・・ぁんぅっ・・・」

岩城の腰がうねり、背が浮き始めた。

香藤はそっと岩城の耳に唇を当てた。

「どう、岩城さん?」

「・・・い・・・いくっ・・・」

「うん、達っていいよ。ここ?」

香藤が柔襞を引っかき、岩城は夢中で頷いた。

「・・・ひぁあぁっ・・・」

喘ぎ声を上げて、岩城が仰け反り、シーツに沈み込んだ。

「前、辛くない?」

香藤の言葉の意味がわからず、岩城は汗に塗れた顔を香藤に向けた。

「達ってないからさ、前。したげようか?」

呆然として岩城は自分のペニスを見つめた。

「・・・これ、必要ないってことか?」

「そうじゃないよ。」

香藤が噴きだすように笑って岩城を抱きしめた。

「駄目だよ、これは俺のものだから、絶対必要なの。」

「あのなぁ・・・。」

香藤は、に、と笑うと岩城の手を取って自分のペニスを握らせた。

岩城が香藤の顔を見上げた。

「これは、岩城さんのものだよ。」

「香藤・・・。」

「でしょ?」

手の中にある香藤のペニスを、岩城はゆっくりと撫でた。

「それ、やばいよ、岩城さん。」

香藤がそっと岩城の手を押さえた。

「したくなってもいいのかなぁ?」

「・・・したいんだろ?」

そっと香藤の首に片腕を回すと、耳たぶを唇で喰んだ。

「これは俺のものだろう?」

「そうだよ。なら、」

香藤が岩城の後孔に、指を入れた。

「ここも、俺のだよね?」

その指で柔襞を抉りながら、香藤は岩城の耳に唇をつけて囁いた。

「ここを、もっともっと、俺ので、一杯にしてぐちゃぐちゃにしたいよ。」

「・・・んぁっ・・・香藤ォ・・・」

両脚を広げ、香藤の腰を挟むようにして、岩城が香藤に縋り付いた。

「綺麗にしようって、思ったのに・・・。」

香藤が嬉しそうに岩城の頬を舐めた。

「あっ・・・あとで、いいからっ・・・」

岩城が上気した顔で、にんまりと笑った。

「一杯にしたいんだろ?」

くすり、と笑って香藤は岩城の腰を抱え込んだ。

「知らないよ、どうなっても?」

「今更か?」

岩城が香藤の唇をそっと塞いだ。

「・・・ん・・・」

だんだんと深くなるキスに、岩城の舌が応える。

息が上がり、香藤の首に腕を絡ませて、

岩城は香藤に身体を擦り付けた。

「香藤・・・、もう・・・」

「うん、いいよ。」

ぐい、と香藤が腰を動かした。

濡れた音を立てながら奥へと進み、

きっちりと収まると、岩城を抱きしめたまま、突き上げ始めた。

「・・・あッあぁっ・・・はんぁっ・・・」

悶え、熱い声を上げる岩城を、

香藤は嬉しげに頬を綻ばせて、見つめていた。







    続く




    弓



 2006年11月12日
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